今春、リニューアルされた盛岡市動物公園ZOOMOに家族で行ってきました。最後に訪れたのが、長女が2歳、長男が生まれて数ヶ月の頃。まだどうぶつの知識は十分とはいえない状況から1年半ほど経過しており、どうぶつの習性や特徴などを理解していたのでしょう。以前よりも親しみを抱いていたように思います。数週間前からこどもたちは楽しみにしており、実際、当日も大興奮の一日でした。
個人的な経験から言うと、こどもにとってどうぶつは、他者とともに生きる上で大切な存在だと思っています。ものを言わぬどうぶつたちと向き合い、そのつぶらな瞳から彼らが何を訴えているのか推しはかる。それは言語外のコミュニケーションを通じて他者の心を覗き、共感するという行為そのものだと考えているからです。
日本の子どもたちのための詩を、海外へ紹介したいというのぞみでつくられた「THE ANIMALS どうぶつたち」は、 詩をまどみちおさん、選/英訳を美智子さま、絵を安藤光雅さんが担当された絵本。どうぶつたちの魅力を詩という形態で、時に美しく、時にユーモラスに伝えています。
キリン
みおろす キリンと
みあげる ぼくと
あくしゅ したんだ
めと めで ぴかっと
そしたら
せかいじゅうが
しーんと しちゃって
こっちをみたよ
(本書から抜粋)
シマウマ
手製の
おりに
はいっている
(本書から抜粋)
「THE ANIMALS どうぶつたち」の絵はほとんど動きがありません。というよりも20篇の詩に対して、一つの絵しかありません。しかし、詩によって想像力が喚起される力強い絵本だと思います。いのちの本質を捉えており、言葉 (英訳も含め) に無駄がなくシンプルだからこそ、魅了されるのでしょうね。現代からすると動きがない絵本にうつるかもしれませんが、こどもにとっても大人にとっても、多くの情報が氾濫する中から少し離れる時間が大切だと思います。こどもと一緒に眠りにつく前に、心を鎮めながら読んでみてはいかがでしょうか。
ねむり
わたしの からだの
ちいさな ふたつの まどに
しずかに
ブラインドが おりる よる
せかいじゅうの
そらと うみと りくの
ありとあらゆる いのちの
ちいさな ふたつずつの まどに
しずかに
ブラインドがおりる
どんなに ちいさな
ひとつの ゆめも
ほかの ゆめと
ごちゃごちゃに ならないように
(本書から抜粋)
(書評文 | mewl 佐々木新)