Message
“子どもを通じて世界を捉え直す”
 
 『Mewl』は、子どもを中心に、両親、企業という3つの視点から世界を考察するウェブマガジンです。
 『Mewl』は子どもの泣き声を意味しており、新生児の最初の泣き声=産声は、初めて肺で呼吸をする大切な合図。この名には、まだ社会では広く認知されていない、本質を探求する様々な人やコトに光をあて、その活動の産声を多くの人に届けていきたい、という想いが込められています。
 このマガジンを立ち上げる最初の萌芽は、私の妻があたらしい生命を宿した時でした。その一報を聴いた私 は、予期していなかったこともあり、恥ずかしながら喜ぶ前にまず狼狽え、不安に襲われました。現代におい て、子どもを持つということは先行き不安定な未来へ穢れなき生命を送り出すことであり、そのような重い責任 を負いきれないと思ったのです。
 気持ちが変化していったのは、妻や両親、友人、このマガジンに可能性を感じて下さった、みんなのみらい計 画さんとの会話を経てからでした。交わされた数ある言葉の中で印象的だったのは、『子どもは大人のガイド だ』という言霊です。最初は朧げにしかその意味がわかりませんでしたが、少しずつ生活の中で、その言葉が周 りに作用を及ぼしていき、私は少しずつ子を持つことへの意味をあらためるようになりました。
 私の中でずっと妨げになっていたのは、世界への諦念感でした。閉塞感が漂い、いつまでも変わらない社会に 倦怠感と虚無感を覚えていたのです。けれども、まだ顔を見ぬ子どもの存在がそのことを打ち消していくのをい つしか感じるようになり、子どもが生まれたのなら、私は子どもの目を通じて『再び世界を捉え直す』ことがで きるだろう、と信じることができるようになりました。
 『Mewl』マガジンでは、保育事業を営む、みんなのみらい計画さんと共に、新米の父と母が企画・編集をし、 実際に子どもを育てながら、子育てしやすい環境/社会のデザイン、画一的な家族のスタイルだけではなく、オル タナティブな家族の在り方を探求していきます。子育てをしている人だけでなく、世界に倦怠感を抱く人へ、少 しでも良いガイドを示すことができたら幸いです。
佐々木新(Mewl Magazine 編集長)