ある家族からのおたより – お花のプレゼント

(東京都 キキ)
 こんにちは。以前、お便りのコーナーに投稿させてもらったキキです。今回は6歳となった息子のとあるエピソードをお送りします。
 投稿しているのを知られたら息子に怒られてしまいそうですが (匿名なので許してね)、息子は幼稚園で好きになった女の子がいるようで、その子の誕生日に何かプレゼントを贈ろうと一ヶ月前くらいから考えているようでした。
 「女の人はどんな贈り物をしたら喜ぶの?」「パパから貰ったプレゼントで一番嬉しかったものは?」といろんな質問をしてきます。
 最初、私に何かプレゼントでもしてくれるのかなと思っていたのですが、誕生日もすでに終わっていますし、特にお祝いごともないので変だなと思っていました。それで同じ幼稚園のママ友にそれとなく聞いて見ると、どうやら好きな子にプレゼントを贈ろうとしていることがわかりました。
 そのことを知ってから私は妙にそわそわして、自分のことのように息子の一大イベントを見守るようになりました。息子は一体どのようなプレゼントを贈り、果たして女の子はどのような反応をするだろうか。もしもあまりに期待外れで、反応が鈍く傷ついたら、トラウマになって一生恋をしないかもしれない!とまで余計な心配をしながら (笑)。
 親が干渉を始めるとそれを察してほとんど何も聞いてこなくなり、随分とやきもきした期間もありましたが、女の子の誕生日の前日、どこで摘んできたのかわかりませんが、息子が急に私にピンク色のコスモスの花束を差し出して、「女の人はこれを貰ったら嬉しいかな?」と尋ねてきました。
 もちろん、プロの方がつくる花束に比べると、一本一本の花の選び方やまとめ方は上手ではありませんが、このような柔らかい感性を持っていることに、そして、相手のことを想うことができることに驚き、とても感動して涙が出てしまいました。「きっと喜ぶと思うよ」と涙を見せないように伝えて、コスモスが良い状態を保つように水を入れた小さな花瓶に挿し、息子に渡してあげました。(翌日には花瓶から出し輪ゴムでとめて、湿ったティッシュで根元を包み、いつでもプレゼントとして渡せるようにしてあげました)
 花束のプレゼントを贈った日、息子を迎えにいくと嬉しそうな満面の笑顔を見せてくれたので、きっと意中の女の子も喜んでくれたのだと思います。息子には色々と感想を聞きたかったのですが、何となくそっとしておいた方が良いと思い、その夜は特別に腕をかけて夕食をつくってその勇気をねぎらいました。
 夫が私の誕生日にたまに花を贈ってくれることもあるので、それを見て息子も真似をしたのかもしれませんが、男性が女性に花を贈るという行為は人生でも決して多いものではないと思います。夫はいつも花を選ぶのは難しいと言いますが、花をあげた時の女性の喜ぶ顔がとても嬉しいのだとか。息子が小さなうちにそうした経験ができたことはとても喜ばしいことだし、その感性を持って大きくなって欲しいなとそう感じた出来事でした。

 

 

本記事は読者さんからお便りを元に、許可をいただいた上で誤字の訂正や読みやすさを考慮して改行などを加えています。また、写真は編集部で選んだイメージとなります。
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