ある家族からのおたより – 息子と愛犬

 私たち mewl マガジンにお便りが届きました。ご本人に許可をもらい記事としてご紹介します。また、みなさまから、子育ての楽しみや悩み、家族の中で起こった不思議なエピソード、幼少の頃の話など、家族にまつわるお便りを募集しています。お名前は匿名でも構いません。尚、送っていただいたお便りを採用させていただいた(記事として掲載させていただいた)場合、2000円分の図書カードをお贈りいたします。

(東京都 キキ)
 こんにちは。初めてメッセージを送ります。以前、mewl magazineさんで公開されていた犬のお話しを読みまして思わず連絡してしまいました。
 私たち家族は、私と夫と4歳になる息子、そして私の母親の4人で慎ましく暮らしています。本当は昨年までもう一人 (もう一匹) 犬がいたのですが、寿命からくる衰えで心臓病を患ってしまい、昨年末に亡くなりました。
 夫が独り身の時に飼い始めたその犬は、とても心穏やかな性格で、息子にもすぐに懐いて、さながら親や親友のような振る舞いをしていました。息子が大泣きすると、さっと悲しみを吸収をするように寄り添ったり、お昼寝に一緒に付き添ったり、息子といる時間を楽しみ大切にしているようでした。
 そんな愛犬でしたが、息子が誕生した時はすでに12歳の老犬。少しづつ体力も落ちていって、散歩の距離が短くなったり、食事の量が減ったり、老いていくのが目に見えてわかるようでした。そして、ついに昨年、16歳になったばかりの夏、老化による心臓病が発覚しました。診断が下された時は家族全員で悲しみ、大泣きしました。

 余命二ヶ月ほどと言われたのですが、点滴や食事療法をして、それから何とか半年間生き続けましたが、昨年末に息を引き取ってしまいました。その半年間も愛犬は私たち家族に対する愛情、とりわけ息子に対してはいつも以上に穏やかに接してくれたように思います。
 愛犬が亡くなっても、息子はまだこの世界のどこかに彼がいるのだと思っているようです。朝起きると、愛犬の名前を呼び、散歩をしている犬を見ると名前を呼んで駆け寄っていく。当然のことですが、息子は「死」というものがどのような意味を持つのかわかっていません。そのことが愛おしくて、何とも言えない感情になります。
 愛犬が亡くなった後、また飼いたいと思う人ともう飼いたくないと思う人と別れるそうですが、私たち家族はふたたび飼いたいなと思っています。犬と過ごした時間は家族のつながりも濃密で(小さな子どもがふたりいるような感覚でした)、また同じような時間を作りたいと思うからです。もちろん、ふたたび飼うとしたら、息子は死とか痛みということも強く実感する年齢になっているはず。でも、それが生きるということですし、それらを通過するからこそ理解することがあるのだと思っています。

 

 

本記事は読者さんから送っていただいたテキストを元に、誤字の訂正や読みやすさを考慮して改行などを加えています。また、写真は編集部で選んだイメージとなります。

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