[ある家族からのおたより] どの家庭でも起こりうること

(東京都 キキ)
 こんにちは。キキです。最近あるニュースに対する驚くべきネットの反応を見て、久しぶりにお便りを送ることにしました。
 ニュースとは富山県で2歳の男の子が行方不明になったこと。大雨洪水警報が出された夜、2歳の男の子が親の目を盗んで、どうやら勝手口から外に出てしまったようです。その後、警察や地元の方を中心に探しているようですが、いまだに発見されていません (2022年8月22日10時現在)。行方不明になった近辺は用水路や川が多く、大雨だったこともあり水嵩もかなりあったことが予想されます。このことに関しては、私も子を持つ親として単純に早くお子さんが見つかってほしいと願うばかりなのですが、悲しいのはネットでの反応です。
 子育てをしたことがある方は理解してもらえると思うのですが、小さな子どもは目を離した一瞬の隙にどこかにいなくなってしまいます。私の子どももまだ小さな頃、スーパーマーケットのレジで定員さんと談笑しながらお会計をしている時に一瞬でどこかに消えてしまいました。結局、隣のクリーニング店で保護されて事なきを得たのですが、一歩間違えれば、車に轢かれていたかもしれませんし、誰かに連れ去られていたかもしれません。私の子どもはわずか数分間の出来事ですが、その間は生きた心地がしないくらい、胃がキリキリと痛む辛い時間でした。
 子どもは歩くことができるようになると危険性を顧みることなく、好奇心に任せて即行動します。親もじゅうぶんに注意をしているのですが、その動きがあまりに早いので本当に驚きます。少し前までゆっくりハイハイしていたのが、歩くようになると、あっという間でいきなり走ったり。いずれにせよ、親の目が届かないところに行くには数秒間あれば充分です。
 富山県の2歳の男の子の場合も、外が暗くなる時間帯で大雨が降っていたとはいえ、好奇心に身を任せて (恐怖心すらなく)出て行ってしまったのでしょうね。そして、その間、お母さんは上の子の髪を乾かしていたということですから、いつもこのような習慣があり、これまでは何事も起こらなかったのだと思います。この間に、子どもが扉を開けて外に出るということは、決して珍しいことでもなく、どの家庭でも起こりうることだと私はそう感じます。
 とても驚いたのはネットの一部の人が親を強く非難していたことでした。もちろん、親の責務として子どもの行動を注視して保護しなければいけませんから責任は親にあります。けれども親も人間ですから、ずっと気を張っているわけにもいかない。しかも、このお母さんはふたりの子どもを同時に見ていました。私もふたりの子どもを育てていますが、ふたりを同時に見るというのはなかなか大変なことです。ちょっと気を抜いてしまう時だってありますし、疲れて子どもよりも起きるのが遅くなり、その間に一大事になりそうな時だってありました。ただ単に運が良かっただけで、私も同じように子どもが行方不明になっていたかもしれません。だから、親に全く非がないとは言えないかもしれませんが、頭ごなしに非難するのは流石に可哀想だと思います。
 きっとご両親は誰よりも深く反省していると思いますし、お子さんが早く発見されることを心から願っているはず。二度と起こらないように反省を促すのはお子さんの件が解決してからでも遅くありません。子どもを持つ同じ親として、私は非難するのではなく、早くお子さんが発見されることを祈ります。

 

本記事は読者さんからお便りを元に、許可をいただいた上で誤字の訂正や読みやすさを考慮して改行などを加えています。また、写真は編集部で選んだイメージとなります。
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