幼少期、両親に絵本をたくさん読んでもらった記憶がある私は、娘が乳児だった頃から絵本の読み聞かせてをしていました。冷静に振り返ってみると、その当時の娘にとっては難しい絵本が多かったように思えます。文字が多かったり、動きがない絵だったり、物語性が強い作品だったり、途中で興味が薄れて、反応がないことも多くありました。
当然のことなのですが、絵本にも対象年齢というものがあると気づいたのは、そうした娘の反応からでした。もっと簡単なものを試したりしましたが、やはり新米のパパママには、年齢に見合う最適な絵本を選ぶことはなかなか難しいです。そのような大人のために、各出版社では、表紙などに対象年齢をわかりやすく記載している絵本をリリースしています。
絵本「おさんぽ おさんぽ」は0歳からでも楽しむことができる作品です。本書は非常にシンプルなストーリーで絵力がとても強い。こども用の青い長靴が出てくるのですが、テクニックとして、引いた絵なのではなく (主人公の顔は映らず、足だけが描かれる)、この長靴にフィーチャーし、それが画面の大半を占めることで迫力のあるシーンが演出されています。こどもが雨の日に長靴を履いて出かけて、さまざまな楽しいイベントに出くわす。足元で起る物語がとても色鮮やかに、そして、大きなアクションを伴って展開されていくのです。
本書のラストシーンでは、長靴を脱いで、水 (泥をたくさん含む!) たまりをバシャバシャと跳ね回るのですが、私のこどもたちも同様の遊び方をします。跳ねる水 (泥!) 飛沫を浴びて、姉弟で大笑い。そのような遊びに味をしめたのか、最近では公園に行くと必ず裸足になって、土や草、岩の上を駆け回ります。素足で、痛いとか、冷たいを感じること自体がひとつの楽しみになっているようです。さすがに冬の雪の上を裸足で歩いた時は、後で霜焼けのようになってしまい、以来、躊躇うようになりましたが、まずは自身の足(身体)で、痛い、冷たい、心地よいを体験することはとても大切なことなのだとあらためて感じました。私も幼少期、川の中を裸足で歩いて、捨ててあったガラスで怪我をしたことがありましたが、今では良い思い出です。傷ついてもこどもはまた裸足で歩いたり、走ったり、全身で地球からの喜びを享受したくなるのですよね。
「おさんぽ おさんぽ」は、そんなこどもたちの好奇心、遊び心が詰まった絵本です。ぜひ親子で一緒に楽しんでみてください。
(書評文 | mewl 佐々木新)