『こどものとも』シリーズの魅力

 

 わたしが自分のこどもに新しい絵本を買ってあげたいと思って探す時、必ず『こどものとも』シリーズを一度はチェックします。もちろん、ベストセラーのものも良いのですが、『こどものとも』シリーズでは新しい若手の作家さんやまだあまり注目されていない掘り出しものに出会ったような発見があるからです。
 『こどものとも』シリーズは、わたしの父親が絵本に携わる仕事を長く続けてきたこともあり、小さな頃からがいつも傍にある絵本でした。月刊で毎月発売されるので、父が家にそれを持ってくるのが実に楽しみだった記憶があります。
 幼い頃は純粋にその物語を楽しんでいたのですが、大人になって、『こどものとも』シリーズは出版元である福音館のある種の実験場なのではないかなと思うようになりました。あまり知名度が高くない作品がよく掲載されている印象のせいでしょうか。人によるかもしれませんが、わたしはそれが好印象で、とても新鮮な驚きがあります。もちろん良い物語を取り上げるという意味では他の絵本と何ら変わらず、結果、このシリーズからロングセラーのものがたくさん生まれているのですが。
 そんなことを思いながら『こどものとも』シリーズのコンセプトをあたってみると、”こどもの成長に真の芸術体験となるような絵本づくりを目指している” と記されていました。真の芸術体験と謳っていることからこどもに対して、決してその力を侮ることなく、大人と同じように理解する力を持ちえていることを前提として絵本づくりを目指してきたことがわかります。
 もちろん過信するわけでなく、こどもの理解力に合わせて10ヶ月から2歳向き、2歳から4歳向き、5歳から6歳、小学三年生から、など相応しい年齢に分けて届けていくという配慮もなされています。対象年齢を意識せずに絵本を購入して子どもに読んで聞かせたことがある方なら経験があるかもしれませんが、読んで相応しい年齢というものが確かに子どもにはありますよね。絵本に精通していないと、その線引きがなかなかわからないことなので、目安としてのガイドがあると選ぶ側としては嬉しいものです。

 

 

 わたしが『こどものとも』の最大の魅了だと感じているのは、月刊誌というフォーマットを採用して、新しい才能の発掘や陽にあたっていない作品に光をあてる精神を持っていることです。小説では月刊誌や季刊誌でオムニバス形式 (さまざまな作家の作品が一つの雑誌で読める) がとられていますが、わたしが知るところでは絵本の世界でそのようなかたちは珍しいように映ります。きっと何かできない理由があるのだと思いますが、いずれにせよ、定期購読をすることで、新しい作家さんやあまり読んだことがない作品にふれる機会が増えて、結果、後進が育っていくというような絵本業界の底上げに寄与しているような心持ちになります。
 また、『こどものとも』シリーズでのもう一つの魅力は、大人たちに向けて作られた『母の友』です。主役はもちろん子どもたちに向けた絵本ではあるのですが、それをもう一つ違った視点から解釈する手助けをしてくれるのです。こどもの頃にはわからなかった絵本の奥深さや新しい発見、こどもとの接し方まで多くの学びがここでは得ることができます。子どもを喜ばせるというのはもちろん大切なことですが、私たち親も絵本を通じて、物語や子育てが楽しめたら良いですよね。『母の友』はそうした大人たちの意識を広げてくれる貴重な本だと思います。
 最後に今号 (1月号) のこどものとも (5~6歳向き) は『とりになりたかったこぐまのはなし』で、わたしが大好きな『おはなしのろうそく』(出版 : 東京こども図書館)で収められた物語が絵本になったものでした。おそらく世間的にはあまり有名な話ではないので、「よくぞこの物語を絵本にしてくれた!」という想いが、この『こどものとも』シリーズを紹介したいと思ったきっかけでした。
 わたしたち親子ともどもこれからも応援したい月刊シリーズ。ぜひ機会があれば手に取ってみてください。

 

 
 

『こどものとも』シリーズ
www.fukuinkan.co.jp/maga/

『母の友』シリーズ
www.fukuinkan.co.jp/maga/detail_haha/

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