子どもや家族とともに日常風景を見つめ直す、川内倫子『as it is』

 写真家 川内倫子の自身の子育ての中で出会った子どもの姿や身近な風景で構成された新作写真集『as it is』が発売されます。
 川内倫子さんは、初写真集『うたたね』(2001年)から20年という歳月の中で、日常の出来事から外の世界へとまなざしを向けながら、近作『Halo』(2017年)では、遠い宇宙を感じさせるイメージを切り開いてきた写真家さんです。そこから『as it is』ではもう一度、自身の子どもや家族とともに、目の前の日常風景を見つめ直すという、原点に立ち返っています。
 3歳になるまでの子どもは、自我が芽生え始めながらも社会とは無縁に生きる、生の塊のような眩しさを持ち合わせています。本作は、現在進行形で綴る家族の物語でありながら、子どもという生命力溢れる存在の普遍性を感じさせるもの。四季の移り変わりを通じて出会う自然と光の美しさ、暮らしの中で見つける小さな生き物たち、初めて体験する死という出来事―それらのささやかな物事に宿る生命の美しさと、その気づきから積み重なっていく日々。
 コロナウイルスなどの蔓延で何気ない日々の切実さを改めて大切に思う現在だからこそ、これまでの風景が違う層として見えてくるような感覚になる写真集です。
Photo by Rinko Kawauchi

 
 

川内倫子 『as it is』

デザイン | 若林亜希子
仕様 | 230 x 180mm/ソフトカバー(フランス装) 144P+テキスト差し込み18P
定価 | 3,000円+税
ISBN978-4-907562-24-3 C0072
www.torchpress.net

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