こども時代の読書の大切さを、大人になってたびたび痛感してきたという建築家 安藤忠雄さん。そんな安藤忠雄さんが、設計、建設し、大阪市に寄付する施設「こども本の森」が、2020年3月1日(日)、大阪市中央公会堂や東洋陶磁美術館などが立ち並ぶ中之島公園内にオープンします。
20代で猛烈に読書を始めてた安藤さんですが、本から受け取ったメッセージは「生きる力」や「考える力」になったことだと言います。でも、もっと小さい頃から読書ができていたら、という思いは募るばかりだったのだそうです。「この国をこれから支えていく子どもたちに、豊かな感性を育んでほしい。手軽で瞬時に情報を入手できるインターネットとは違う、 読書だから期待できるものがある」。この施設がスタートしたのは、そのような安藤さんの深い思いから生まれました。
「こども本の森」の運営は、共同企業体である「TRC&長谷工 meet BACH」 。「子どもたちのまっさらな心に語りかけるものが詰まった愉快な本箱」「絵本や物語の文化が代々引き継がれていく聖地」 そんな場所を目指していくとのことです。
クリエイティブ・ディレクションを手がけるブックデイレクター・幅允孝(BACH)さんは、 本屋、美術館など幅広いジャンルで、その場所のための編集型本棚を創る仕事をしています。「こども本の森」では、子どもの好奇心に火をつける、子どもの心持ちに寄り添うような多種多様な本を選び、配架の方法にも細やかな工夫が懲らされています。たとえば「あの人の本棚」という特別なスペースが設けられ、ゆかりのある方の本を定期的に紹介するそうです。記念すべき一人目は、こども本の森の名誉館長、山中伸弥さんの本が紹介されます。
この施設と他の図書館施設との大きな違いの一つは、中之島公園内へ本を持ち出せること。子どもたちは公園内の水辺、木陰のベンチ、芝生の上など、いろんな場所を見つけて出して、物語の世界に入っていくことができます。想像するだけでわくわくするような環境が整えられていますね。オープンが実に楽しみです。