カシュカシュのまちでかくれんぼ

 「カシュカシュのまちでかくれんぼ」は、フランスのストラスブール装飾芸術学校出身のイラストレーター アガット・デモアとヴァンサン・ゴドーによって作られた(訳 うちださやこさん)絵本です。
 本書の特徴は何と言っても、赤いセロファンのついたルーペで、隠されたもうひとつの世界を覗くことができること。隠れたものを覗く行為は、子どもたちがとても喜ぶことですよね。そこには、驚きがあり、ユーモアがあり、そして何より、知らないことを知るという人を動かす原動力、生きる上で大切なインスピレーションの源があります。もちろん、大人が瑞々しい心で生きる上でも、とても重要なことだと思います。
 彼らの前作「ルージュベックのだいぼうけん」では、旅をテーマに隠れたものの中から驚きを発見する物語でしたが、今作では、まちでかくれんぼをするという物語設定で、帽子屋、ブランジュリー(パン屋)、郵便局、美術館、動物園など、まちを構成する建物やその中でどのような人がどのように働いているかがわかる内容になっています。
 その建物の形もユニークで、その外観を眺めているだけでも楽しいのですが、個人的に気に入っているのは、まほうのルーぺによって(きっと子どもにとっては本当に魔法を使っているような気分になるのではないでしょうか)、建物の中のプロダクト、インテリアを覗き見し、それら(たとえば金魚鉢やチューリップの鉢植えなど)を通じて、家に住むパーソナリティを想像する楽しさです。この人はきっと読書好きで早起きをしているのかもしれない、このお家の人は三人家族でペットを大切にしながら暮らしているのだろう、と子どもと一緒に「どのような人が住んでいると思う?」とお話しながら読むと、イマジネーションがどんどん広がっていきそうです。きっと作者のふたりもそうやって住人を想像しながら、楽しんで作っていったのではないでしょうか。
 小難しい理屈抜きで、子どもから大人まで楽しめる内容ですので、ご興味あればぜひチェックして見てください。

 
 

カシュカシュのまちでかくれんぼ
作 | アガット・デモワとヴァンサン・ゴドー
訳 | うちだ さやこ
本体価格 | 1900円(税別)
ISBN-13 | 978-4-87758-798-7
判型 | A4変型 217×265×14mm
PP袋・セルシート入り 表2部分にルーペ付
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